日本モダンガール協會の「週刊モガ」

一般社団法人日本モダンガール協會代表の淺井カヨによる個人ブログ©️KAYO ASAI

第10回「週刊モガ」 實踐の手引き

 

 

 

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チェンマイにて筆者

連載第10回「週刊モガ」 實踐の手引き

急に寒くなつて參りましたが、
いかがお過ごしでせうか。
 
二日遅れましたが、今週の「週刊モガ」です。
木曜日更新だと、淺井モクヨになつて
しまいますね。淺井モクヨと
呼ばれるのを避ける為にも
なるべく火曜日に更新したいと
思つて居ります。

先週末は、なんじゃもんじゃ会へ参加の為
富士山で過しました。
二泊三日の旅でしたが、生涯の想ひ出に殘る
素晴らしい經驗が出來ました。

富士山の寶永山莊にて、
登頂555回目の實川欣伸さんが
丁度いらつしやいました。
精悍なお顏でした。
まだまだ記録を延ばされる樣で、
頭が下がる想ひです。

富士宮口5合目まで
車で連れて行つて貰ひ、寶永火口まで歩いて
はしやいだだけでぐつたりしてしまいました。
酸素が少なくなると普通に歩くだけで
息切れがします。富士山登頂には憧れますが、
相當な準備をして臨まないと
難しいだらうなアと思ひました。

富士宮からやきそばエクスプレスで東京へ
戻り、その後に所用で澁谷へ出掛けました。

驛前では其処かしこで
散らしやティッシュ・ペエパアが配られてをりました。
一寸異様な感じでした。

以前は貰つてゐた事もありましたが、
今は、其れを手に取る事はありません。

例へば、
「かう云ふことをやつてをりますから、
宣傳のティッシュ・ペエパアを
貰つて下さい。」と云ふのなら
まだ話は わかります。

然し、來る人來る人に何の説明もなく
物に渡すやうに無言で配り續ける行爲には
大きな違和感を持つてゐます。
ティッシュ・ペエパアを配る人に
嫌惡感があるわけでは
決してありません。
彼等は仕事を一生懸命してゐるだけです。
また、貰つてゐる方を非難してゐるわけでも
ありません。

ティッシュ・ペエパアを無料で
無言のうちにどんどん配つてゐる行爲自體を
私は受け入れる事が出來なくなつた
と云ふことです。

「週刊モガ」では、私の實踐する現代モガに就いて
認めて居りますが、かうしたからモガと云ふことでは
決してありません。
モガの定義は一人一人が違ひますから、
各自が考へるきつかけに成ればと思つて居ります。

一日の全てをモガとしての精進に
捧げる事は難しいですが、
一日の内で、何分でも、何時間でも構ひませんが
必ず時間を作る事だけは、必須事項です。

週に2~3日でも月に數日でもいけません。

本氣で自分なりのモガを目指すのなら、
毎日續けてみて下さい。
 
眠れば、意識が無くなります。
意識のある時間、無い時間の繰り返しの中で
毎回、滞りなく何かをしなければ
力を蓄へることは出來ません。

田舎に住んでゐても、都會に住んでゐても
熱意の問題で、状況は變はりませんので
場所を理由にしてはいけません。
どこに居ても、必ずや方法はあります。
私自身は、今は東京よりも地方の可能性が
高いと思つて居ります。

一つの目安として、100日連續で
モガと其の時代に就いて
何かを見たり考へる事、
當時の物に觸れる方法を編み出して下さい。

1日も欠けることなく、
100日連續でモガに就いて考へ行動に移せたら
必ず新たな一歩を踏み出せます。

100日連續の修行を
終へたら、モガに就いて
考へない日はなくなるでせう。
自分なりのモガ像が浮んで來ると思ひます。
いつか、全國各地で現代モダンガールが各自のものを
發表していつたら、實に面白くなるだらうと思ひます。

「週刊モガ」の原稿は、紙に萬年筆で下書きをした後、
コンピューターで文字を打ち込んで完成させます。
機械のみで、文章を作る事は殆どありません。
舊漢字(正漢字)に就いては、
漢字の無料變換ソフトがインタアネット上に
複數ありますので、其れを使用した後、
更に校正します。
「旧漢字」で檢索をすれば幾つか出ます。

下書きは、あらゆる場所で書いて居ります。
萬年筆なので、
絶對に手元から離さない樣に列車での
移動中に隅の席で書いてゐる事が多いです。
家にゐる時間で、
じつくり原稿を書くことはありません。

今日は此の原稿を、帝都ではおなじみの
澁谷の名曲喫茶ライオンで
認めて居ります。

名曲喫茶ライオンは、昭和元年創業の
モダンガールの聖地とも云へる場所で、
澁谷へ出掛ける時は必ず行く喫茶店です。

二階吹き拔けの空間には
「帝都隨一を誇る」スピイカア。
列車の坐席の樣に竝んだ椅子の上で
大音量のスピイカアから
流れる音樂を聽いてゐると、
此處が澁谷である事も、東京である事さへも
忘れてしまいさうです。
本當に、掛替のない喫茶店です。

北海道の旅行記では、モガ・モボは
小樽へ行くべきだと認めましたが、
東京へ來るモガ・モボは
名曲喫茶ライオンへ必ず行くべきです
ジャズやタンゴやシャンソンは流れませんが、
音樂に耳を傾けませう。

時々、店内でのレコオド・コンサアトの
案内などが放送されます。
此處へは一人が一等來やすいものですが、
2人以上で來ても
名曲喫茶ですから、話は餘り出來ません。
話をしないでも、間が持つ方とならより良いでせう。

會話のない會合に成つても、大切な方と一緒に
「名曲喫茶ライオン」で過した時間を
生涯忘れる事はないでせう。

幾つかの會合を想ひ出し乍ら、
一人 音樂に耳を傾けてゐると
切ない氣分に成るものです。

此處へ來ると、レコオド・コンサアトの時間以外は
大體好きな曲をリクエストします。

本日は、シューマンの「子供の情景」を
全曲掛けて貰ひました。

自分が選んだ音樂が流れるまでに、
30分位かかつたと思ひます。
私は浪漫派のシューマンを
自宅でもよく聽いて居ります。
「名曲喫茶ライオン」の空間で、
好きな曲を聽ける、其れを
ワクワクした氣分で子供のやうに
待つてゐる事が出來るのは、至福の時間です。

大抵私はホットココアを飮みます。

悲しみでも寂しさでもなく、胸を締め附けられる樣な、
何かに突き動かされる樣な、
それで居て心地良い一人の時間は
他の場所ではなかなか感じ得ることが出來ません。

東京へ來たら、是非「名曲喫茶ライオン」で
好みのクラシックをリクエストしてみて下さい。

然し乍ら、かう云ふ場所がどんどん失はれていくことも
多い昨今ですから、なるべく利用しやうと思つて居ります。

大切な場所は、どんどん減つてゐます。其れらに對して
私はあまりにも無力ですが、
生きてゐる限り其の場所を忘れる事はありません。
人との出逢ひから、
大きな影響を受ける事は多々ありますが
特定の場所からの影響も非常に大きなものです。

場所や人との附き合ひは、
未知の自分との出會ひでもあると
思つてゐます。影響を與へるもの、此れまでに考へた
ことすらなかつたもの、
新しい價値觀など、自分だけでは
考へ附かなかつた樣なことを引き出して呉れる場所や人には
強く惹かれます。
 
新たな出會ひによつて人は變はり、
自分自身も新たに増殖します。
 
一人で外へ出なければ見つけられません。

會社や學校などの世界だけに拘る必要はありません。
澤山の事物と積極的に關はつていくことによつて
自分が生まれるのです。

一人で乘り込んでいく時は勇氣が居るものですが、
何事も經驗です。
無駄に成る經驗など、人生に於いて
一度もないと私は斷言します。
樂しい經驗は勿論ですが、さうでなくても、
何故其れが苦手で受け入れないのかを
考へるきつかけが作れます。
また、怒りは人を動かす力にもなります。

ただ、たくさんの方と接していくのは重要ですが
惡意のある批判許りを繰り返す方に
時間をさく必要はありません。
避けていくことで、ますます惡い噂を立てられたり、
惡口を言はれる事もあるかも
しれませんが、何ら氣にする事はありません。
直接面と向かつて言はれたら反論すべきですが、
陰口に對しては
相手にするだけ時間の無駄と云ふものです。

例へばモガに憧れた方が、
モダンガールに成ってみたとします。
列車に乘つてゐると、
集團で、明らかにこちらをみて嘲笑される、
足の先から頭のてつぺんまで凝視される(一番失禮な行爲)、
遠くから冩眞を撮られる、
等々の今までになかつた樣な目に遭ふかもしれません。

最初は、ビクビクするかもしれませんが
面と向かつて言はれない限りは
全く相手にしない事です。

自分の周りに透明で頑丈な砦や壁がある事を
想像してみて下さい。
此の砦は、自分にしかわからないものですが
效果は絶大です。
どんな惡口も、視線も、野次も何一つこちらへは
傳はつて來ません。全てが、
砦の向かう側の出來事なので自分自身は
澄ましてゐられるのです。

最初は慣れないかもしれませんが、慣れてくると
周りの目が、一切自分に入らなくなります。
そして、好奇の視線を全く感じなくなるのです。

時々、私は誰かと一緒に居ると
「周りの人に 見られてゐたよ。」と
云はれる事が多々あります。
其の視線に全く氣が附かなくなります。

好奇の目にいちいち構つてはゐられません。
 
モガを目指す方は、
自分で自分を防禦する方法を
身體に覺えさせて下さい。

其の格好が完璧であれば有るほど
一目にさらされる事は免れないでせう。

一つ大きな利點は想ひが強くなればなる程、
自分が興味を持てる人に
會へる確率が上がると云ふことです。
其れは、經驗から言つて慥かなことです。

最初の頃はビクビクしても、
慣れたら度胸が附きます。

本當に自分の着たい洋服で、周りの目を
氣にする事もなく、時と場所に合はせ乍ら
組み合はせられる事と
言つたら、至上の喜びです。

此の連載を讀んで下さる方の中には、
此れからモガを實踐したいと
云ふ方もいらつしやいます。

最初に當たる壁が、周圍の目です。

周圍を氣にせずに居られる爲には、
家を出るまへに、鏡を見て理想の姿に
成つてゐなければなりません。
モガと云つても、色々なスタイルがあります。
背が低い方、高い方、痩せ型の方、ふくよかな方、
一人一人が自分の資質には
どんなモガ・スタイルが似合ふのか
色々試して、實踐してみる事です。
自分にとつて一等似合ふ格好を目指すのです。
現代の流行雜誌に載つてゐる
モデルを參考にする必要はありません。
當時の資料を片つ端から見る方が重要です。

地方に住んでゐて、周りに理解者が居ないと思つても
心配しないで下さい。
日本國中、世界各國にはいつか出會へる方が
必ず居ます。私も距離があるかもしれませんが、
其の内の
一人です。

毎日、毎日其のものに觸れ、孤獨な鬪ひを
續けるのです。決して辛い事ではありません。
高く上がれば上がるほど、
面白い人やものに出會へる機會が
どんどん増えます。
 
若し、さうなつていかないのなら
「今はまだ一人で切磋琢磨する時間である。」と天の聲が
言つてゐると思つて下さい。
私だつてまだまだですが、此れからも
一生涯續ける事に成りさうなので、何らかの物を形に
殘していけると確信してゐます。其れが何よりの
生きがいでもあります。

周圍の目は、今よりも當時の方が、
ずつと厳しかったと云ふことも
どうか忘れないで下さい。
何しろ女性の髮が短くなつただけで
大變な時代があつたわけですから・・・。

當時に生まれてゐたら良かつたとは思ひません。
一度でいいからあの時代の町を
モガとして歩いてみたり、
淺草十二階に登つてみたかつた
と言ふ夢などは多々あります。
其の想ひは、迚も強いものです。

然し、私は現在に生まれたのですから、
其れを受け入れ生かして行きたいと思つて居ります。

當時のモダンガールは、最新の物を使つてゐました。
新品のものを使ふことと、今、例へば80年位
の時間を經たものを使ふのでは意味が異なります。

私は、其処に大きな意味を見出し度いと思つて居ります。

そろそろ、第10回の「週刊モガ」はお終ひにします。
今回は、富士山から「名曲喫茶ライオン」の話、
最初にぶつかる壁に就いてお話しました。
 
急に寒くなつて參りましたので、
我が家では「火鉢」の用意を
しようかと思ひます。

郊外の古い日本家屋で隙間風が
たくさん入つて來ますので
ありがたい事に、「火鉢」を使ふことが出來ます。

現在の氣密性の高い集合住宅に
在住の方は、殘念ですが
危險なので、「火鉢」は使はない樣にご注意下さいませ!
 
それでは、ごきげんよう。
(淺井カヨ)

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